第10位:行灯油の再利用ビジネス

江戸では行灯に使った廃油を回収して、再び照明用や工業用に利用するビジネスが存在した。
町中を回る業者に加えて、子どもたちがお小遣い稼ぎで家々から使い終わった油を集めることも多く、再利用の精神が根付いていた。
集められた廃油は汚れを濾し取ったり、用途に応じて混ぜたりして再販され、
貴重な資源として無駄なく活用されていたらしい。
第9位:犬のフン掃除役「犬糞拾い」

犬公方として知られる五代将軍・徳川綱吉の時代、犬の保護政策で犬が増えすぎた結果、
街のあちこちに犬のフンが溢れた。
そのため「犬糞拾い」という専門の掃除役が雇われ、町の衛生管理を担っていた。
俸給が支給されるれっきとした職業で、
幕府の政策の一環として街の清潔を守る大切な仕事だったらしい。
第8位:身代わり出頭屋

江戸の奉行所では、訴訟や尋問で呼び出される人が多くいたが、
罪が軽い案件なら「身代わり」に出頭しても問題にならないことがあった。
この隙間を突いて生まれたのが「身代わり出頭屋」という商売で、
特に貧しい人が日当目当てに引き受けるケースが多かったという。
ただし嘘がバレれば罪が重くなる危険もあり、
依頼する側もされる側も命がけのやり取りだったらしい。
第7位:江戸のレンタル傘「貸し傘屋」

江戸では突然の雨に備え「貸し傘屋」という傘のレンタル業が盛んだった。
当時の傘は高価で持ち歩くのが大変だったため、急な雨で困る町人たちには救世主的存在だった。
ただ返却しない人も多く、預かり金を取る店も現れたほか、
貸し傘が質屋に流れてしまうというトラブルも多発していたらしい。
第6位:髪の毛買い取り屋

江戸では女性の髪の毛を買い取る商売が広がり、かもじ(付け毛)やかつらの材料として使われた。
女性たちは生活に困り果てると、やむを得ず長い髪を切って現金化することがあり、
江戸の町には「髪買い」の行商人が声を張り上げて回っていたという。
美しく長い髪ほど高値で取引され、髪の毛は文字通り「黒いダイヤ」とも呼ばれていたらしい。
第5位:カゴでの宅配便「飛脚便」

飛脚は、江戸から京都など長距離を人力で走り抜ける宅配業者で、
時には3日で江戸・京都間を往復する俊足の飛脚もいた。
彼らは手紙や商取引の金銭、重要書類などを運び、運賃は荷物の重さや距離で細かく設定されていた。
走る姿が街道の名物となり、飛脚同士の速さ比べも話題になるほど、
江戸の物流を支えるヒーロー的存在だったという。
第4位:ウンチを売る「肥料商人」

江戸では人糞は「下肥(しもごえ)」と呼ばれ、
野菜など農作物の肥料として欠かせない貴重な資源だった。
町人たちはトイレを提供し、その糞尿を肥料商人に売って収入を得ることもあり、
江戸のトイレ事情は意外とビジネス色が強かったらしい。
農村から買い付けに来る商人が多く、肥料の質によって値段も変わるなど、
まさに資源循環型の社会だったという。
第3位:猫が招く商売繁盛「招き猫」

江戸末期、商売繁盛の縁起物として「招き猫」が大ブームを巻き起こした。
左手を上げる猫は人を招き、右手を上げる猫はお金を招くとされ、
商店の軒先には必ず置かれる定番アイテムになった。
土人形や磁器製など様々な種類が作られ、白猫だけでなく黒や金のバリエーションも登場し、
庶民の信仰心と商魂が融合した存在だったらしい。
第2位:見世物小屋のミイラ展示

江戸の見世物小屋では、外国から持ち込まれたという「ミイラ」の展示が大人気で、
庶民の好奇心を大いに刺激した。
「エジプトの王女のミイラ」や「南蛮渡りの珍奇な人骨」などと大げさに宣伝するケースも多く、
中には完全な作り物も混じっていたという。
本物か偽物かを見分ける術もなく、エンタメと詐欺が紙一重のスリリングな世界だったらしい。
第1位:貧乏長屋のシェアハウス生活

江戸の長屋は、わずか数畳の部屋に家族や単身者が住み、
多いときには複数世帯が共同生活を送る「シェアハウス」のような環境だった。
薄い板壁で仕切られているだけなので、隣の家の喧嘩や笑い声まで筒抜けだったが、
その分ご近所同士の助け合いも盛んだった。
火事の時には皆で協力して消火し合うなど、
江戸ならではの人情とコミュニティが色濃く息づいていたらしい。